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K40によるコンプトン散乱の影響

先日、1Bq/kgの試料の測定を行いました。

1Bq/kg試料の定量

K40(カリウム)によるコンプトン散乱はCS領域に影響を与えます。
1Bq/kg程度のごく微量の汚染の測定時にK40のコンプトン散乱による影響がどの程度あるのかを確かめる為に疑似的に下の画像のように透明のフィルムに出来るだけ均等に炭酸カリウムをつけて1Bq/kgの試料に巻いて検査室に入れ、それを測定してみました。

1bqk40.JPG

測定時間は同じく16時間です。

1BqK40-16H-3-7.jpg

茶色のバックグランドより赤の試料が全体的に持ち上がっています。
Cs-134とCs-137の比率も逆になり、Cs-Allでの数値は倍になりました。

それを打ち消す為に高分子吸収剤に炭酸カリウムをそれぞれの袋に2g(計4g)入れたものをBGとして20時間測定したものと比較したのが下の画像です。

K40BG4g1Bq-K40-3-7-16H.jpg

まだ茶色のBGに対して赤の試料が持ち上がっていますが数値としては真の
値により近くなってきました。
コンプトン散乱を打ち消す一定の効果はありそうです。

K40の山に対してBGの山が、まだだいぶ低いのでもう少し炭酸カリウムの量を増やしたものでBGを再取得する必要がありそうです。

1Bq/kg程度のごく微量の汚染の定量は大変難しいです。
数値をただ読むだけでなくスペクトルを見てK40のコンプトン散乱がありそうな場合は通常のBGと複数用意したカリウム濃度が違うBGとの比較でもクロスチェックする必要があります。
3-11.JPG