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γ線測定装置の種類と選び方

はじめに

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故により、東日本はもとより、全国に人工放射性物質が拡散し汚染しました。
原発事故由来のさまざまな放射性物質において比較的測定が容易なγ線に貢献する放射性核種はCs-134及びCs-137です。
Cs-137はチェルノブイリ事故や核実験などの影響で今も尚、検出例があるが、半減期が約2年のCs-134が検出される事により 、福島第一原子力発電所の事故由来であると推定が出来ます。

食品等の試料の放射能測定器、検出器別に種類をわかりやすく簡潔に説明致します。

ゲルマニウム半導体検出器Ge(Li)を用いた測定器
測定者のスキルがあり正しく校正がなされていれば、厚い鉛遮蔽体(15cm以上推奨)、性能が良いMCAを使う事により、試料を長時間測定する事で1Bq/kg以下まで正確に定量する事が可能。

長所:NaI(TI)に比べ、感度は低いものの格段に分解能が優れており長時間測定すればする程、測定精度が上がり、精密測定に最適。

短所:重量があり設置場所なども限定され、コストが数千万円かかる。窒素冷却が必要な為にランニングコストも高い。

ヨウ化ナトリウムNaI(TI)シンチレーション式検出器を用いた測定器
『放射性セシウムのスクリーニング』を目的とした測定装置。
厚生労働省による『食品中の放射性セシウムスクリーング法』でNaI(TI)検出器の場合は25Bq/kgと規定しています。
(ピークとして明確にCs-134、Cs-137等を検出、出来る限界値)
遮蔽などを強化する事で一桁台のセシウムを定量する事が出来る可能性がある。


長所:Ge(Li)に比べ分解能は低いが感度が良いので短い時間でのスクリーニング(25Bq/kg)に適しています。
   スクリー二ングする検体数が多い場合などに有利。

短所:重量はGe(Li)程ではないが重い。(ZIPに比べて)
微量の汚染(数ベクレル)の定量はピークとして明確に検出、出来ないので、測定誤差の評価が重要になる。
*日本アイソトープ協会認定の機種はほとんどがNaI(TI)

ヨウ化セシウムCsI(TI)シンチレーション式検出器を用いた測定器

Ge(Li)とNaI(TI)の良い部分を合わせ持った測定装置です。
液体窒素での冷却も必要なく、検出効率を最大限に考え設計、長時間測定する事で1Bq/kg以下まで定量出来る。

長所:分解能などがNaI(TI)に比べ優れている、分解能以外でも温度特性、(温度変化によるドリフトが少ない)
エネルギー直線性等にも優れる。また、検体量が320gと少ない事も大きなアドバンテージ、総重量も50kg程度とコンパクト。

短所:分解能はGe(Li)に劣る。

*CsI(TI)検出器を用いた測定器がすべて同じではない事にご注意下さい。
上記はあくまでも新世代 放射能測定器 iFKR-ZIP-A(アドバンス)についての説明文です。
測定器の性能は検出器の性能だけではなく、遮蔽、検出効率、MCAの性能等の総合的なバランスにより決まります。
特にMCAはデジタルのものは原理的に微分非直線性を保証出来ませんのでゲルマであっても遮蔽が不十分で性能が悪いMCAを使用しているものは定量下限値も高いです。


おわりに

天然放射性同位体元素でK40(カリウム40)が食品等の検体に多く含まれている場合、コンプトン散乱がおきて放射性セシウムを誤検出する可能性がある。
しかし、厚生労働省による『食品中の放射性セシウムスクリーング法』では、K40の影響は『正のバイアス』として容認、補正の必要はないとしている。
K40以外にも、天然放射能を出すウラン系列などの核種が検体に含まれている場合の影響はごく微量だがある。
また、解析プログラムは、Cs-134とCs-137の比率に影響されないアルゴリズムで算出する必要がある。
iFKR-ZIP-A(アドバンス)は高性能アナログMCAを使用しています。
NaI(TI)では判別が難しいケースの場合も、分解能が高い分、正しい知識があればスペクトルを見る事で判定する事が可能です。

測定器を選ぶ時の大切な要素として測定器の取扱いや、測定方法などのサポート体制がしっかりしている事など注意すべきです。
検討をしている測定器の数ベクレルの試料を実測したスペクトルデータをみてピークがちゃんと出ているかを確認する事は後で後悔しない為に最低限必要だと思います。
実測データを比較して測定器を選ぶ方法がベストだと思います。

iFKR-ZIPは現在、北海道、東北、関東甲信越、中部、関西などのユーザーで作る『ZIP友の会』による情報交換が可能です。
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測定初心者の方もお気軽にご相談下さい。


iFKR-ZIP-A(New ADC搭載のMCA使用)




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2014年01月25日