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セシウム測定の検出下限値について

原発事故由来のさまざまな放射性物質において比較的測定が容易なγ線に貢献する放射性核種はセシウム(Cs-134及びCs-137)です。
Cs-134の半減期は約2年ですがCs-137の半減期は約30年と長く300年経っても完全には消えません。
ほとんど測定されてないストロンチウムの半減期も約29年と長く、セシウムの300倍の毒性があり一度人体に取り込まれますとカルシウムと同じく骨に蓄積されその生物的半減期は50年で生涯人体に悪影響を与えます。

セシウムとストロンチウムの比率は原子炉内では1:1と言われています。
放射性物質はこの数値なら安全だという閾値はありません。
ごく微量でも毎日摂取すれば確実に蓄積されていきます。
現状では市民がストロンチウムを測定する事は難しいのでセシウムの測定を出来るだけ微量行う事に意義があります。

例えば311前のデータでキャベツなどはCs/0.035Bq/kgに対してSr/0.11と何らかの理由によりストロンチウムのほうが数値が高い例も見受けられました。以前見たウニのデータもセシウムよりストロンチウムのほうが数値が高かった事を記憶しております。
食べ物によりその比率は違いますが仮に1:1としましてもセシウムの定量は出来るだけ低いほうが良いのは明白です。

仮にキャベツでセシウム137が3Bq/kgあればストロンチウムはその約3倍の10Bq/kg程度含まれるケースも出てくると思います。
毒性の強いストロンチウムは測定が不十分でセシウムの300倍危険で排出されませんのでそのキャベツの危険度はセシウム換算でざっと3,000Bq/kgと言う事になります。

だからセシウムの定量を出来るだけ低い数値に抑える事は大変重要だと思うのです。

日本国内における測定の現状ですが現在、もっとも国内に普及している測定器はゲルマニウム半導体測定器が一部そしてスクリーニングにはほとんどNaI(T1)が主流です。
公益社団法人日本アイソトープ協会はメーカーに校正用線源としてCs-137の50Bq/kgでその性能をメーカーと検証しております。
実際に市場に出回っている食品などのほとんどの検体には自然由来のK40(カリウム40)などCs以外の核種が含まれております。
食品中の放射性セシウムスクリーニング法でもNaI(T1)検出器の場合はピークとして明確にCs-134、Cs-137等を検出する事が出来るのは25Bq/kgと規定しています。
国の基準値、100Bq/kgは事故前は低レベル放射性廃棄物としてドラム缶に入れられ厳重に保管されていた事を忘れてはいけません。

*実際にNaI(T1)を使用している市民測定所の例をあげますと理論値での数値を発表しておりますので信憑性に疑問があります。
数値だけではなくCs-134の604Kev、796Kev、Cs-137の662Kevのピークをみて検出かどうかを判断する事が必要になります。
つまりNaI(T1)ではメーカーの検出下限値はCs-137の単一核種のみの理論値で1Bq/kg程度とうたっていますが実際の試料を測定した場合は数ベクレル程度の汚染を見分ける事は出来ません。
それはK40など他の核種を考慮に入れてないからです。
先にも述べましたがほとんど検体にK40などの核種が含まれていますのでアイソトープ協会認定のNaI(T1)ではピークとして明確にCs-134、Cs-137等を検出が出来る数値は『食品中の放射性セシウムスクリーニング法』でも明記している25Bq/kg程度です。
数ベクレル検出となっていても実際には1ベクレルないケースやまた逆もあると思います。
もちろん測定器により違いますがNaI(T1)では10Bq/kg程度の汚染を見分けるのも測定者のスキルが必要で容易ではありません。

iFKR-ZIP-Aの下記スペクトルを参照頂きたいのですが3Bq/kg程度でもいわゆるセシウム3兄弟のピークがわずか14,000秒の測定で確認出来ます。


3bq-14000s.jpg

茶色/バックグランド、赤/検体、緑/バックグランドから検体を差し引いた値

事故前から長年測定をされている専門家はNaI(T1)の現在発表されている数値の信憑性を疑問に思っている方がおります。
また、ゲルマ二ウム半導体測定器なら信憑性も高いと安心される方も多いのですがいいかげんな測定が氾濫している事を複数の専門家も憂いております。
私もお客様がゲルマで測定されたデータを見せてもらったのですが2,000秒足らずの測定で検出下限値1Bq/kg以下NDとの表記に驚いた事は1度や2度ではありません。
ゲルマなら安心と思われている方も多いですが実際にはまともな測定を行っているところは1割にも満たないのではないでしょうか。
測定器のメーカーは多くありますが実際、測定に対して真剣に取り組んでいるところがほとんどないのが現状です。
(株)シンメトリックス社の放射能測定器のユーザー様向けに測定に関する疑問などをお気軽に聞いて頂けるメーリングリスト会員
サービスもございます。
測定時間の目安は50Bq/kgで10分~20分、25Bq/kgで30~40分、10Bq/kgで60分、3Bq/kgで1~3時間です。
*BGなど条件により違います。
測定の時間、精度などは1年以上積み上げてきたました実測データがあります。
下記をご参照頂けますとご欄頂けます。
こちら



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2014年07月27日