本日 901 人 - 昨日 775 人 - 累計 2296665 人

マイカ検知窓型ガイガーカウンターの使い方

1:最初に、マイカ(雲母)検知窓は非常に脆く壊れやすいので絶対に触ってはいけません。
穴が開けばオシマイ、数万円の修理費がかかります。
最初に検知窓にセロテープでも貼って触らないように工夫し、本当に必要なときだけ剥がして使うようにしましょう。

2:測定器を放射能で汚さないこと。
微量の放射性物質が付いてしまうだけで正しい線量が計れなくなります。
マイカ窓に汚染土が付着したら清掃も困難です。
測定器をビニール袋に包み、直接対象に触れないようにすること。袋はときどき変えること。

3:空間線量率(μSv/h)は付属のプラスチックケースを付けた状態でガンマ線だけを測定すれば十分です。
ベータ線やアルファ線は飛距離が短く遮蔽性も強いので内部被曝が問題です。
ベータ線補正をしていない計測器(高級機)で、セシウム汚染の空間線量率を測定すると実際の数倍も出てしまいます。
だから必ずベータ線遮蔽装置をつけて計測する必要があります。
セシウム土壌汚染は地上1m以上で測定すればβ線を大幅に低減させることができますが地面に置いた状態では遮蔽ケースをつけない限り計数過剰になります

理由は、GM管の場合、ベータ線をほとんど計数するのに対しガンマ線は1・2割程度ですから、大幅に計数オーバーになってしまうためです。補正済み計器では、ときどき標準線源を計測して正しい値を知っておく必要があります。

 
4:ガイガーカウンターの特性 
ガイガーカウンターで正確な空間線量(生物被曝当量)率(μSv/h)は測定できません、エネルギー補償表記があれば、ある程度正確です。
理由は、GM管は放射線が飛び出す回数を計ることができるだけで、エネルギーや種類まで分からないからです。
線量率はエネルギーと種類に大きく依存し、ベータ線に対して非常に感度が高く、ガンマ線に対して感度が低くなります。
核種によっても異なります。
このためGM測定は正確でない、おおざっぱな線量率であることを知っておく必要があります
ベクレルは単位あたりで毎秒出る放射線数ですが、毎分入射個数(CPM)とよく比例しますので、ベクレル値を測定するとき、正確な標準線源による更正可能なら比較的有利です。
また、ベータ線感度が非常に高いことを利用して、アルミ板を重ねながら計数率をプロットし、おおよそのエネルギーを知って核種推定できる方法(フェザー法)もあります。


5: 測定値はサイコロの目のように偶然出て「大数の法則」に従う
放射線は毎秒100ベクレルであっても、いつでも100個飛び出すわけではありません。
たくさん計数すれば平均して毎秒100個になるだけで、サイコロの目と同じです。
一回一回何個飛び出すか、偶然に左右されて誰にも分かりません。したがって、たくさんの回数を計るほど平均値を取れば正確になります。
実用上、何回計測すれば正確か定まってるわけではありませんが、良い計測値を出すためには最低10回(10分)計数して平均値を出しましょう。
バックグラウンドについては20回計数することを薦めます。
しかし、それでも宇宙線などの影響で、毎日値が変わる可能性がありますので、そのたびに測定しなければなりません。
6:サンプル測定の注意
必ず多数回計数すること。そしてバックグラウドを計数し、差し引きが真の値になります。
バックグランドの値が高いときは、偶然の変動に埋もれて正しい値が出せないため十分な遮蔽を行う必要があります。
遮蔽は最低、バックグランドを半分以下に抑える必要があり、このためガンマ線LT値(鉄で厚さ18ミリ)以上の遮蔽箱が必要です。さらに数十ベクレルの誤差に抑えるために1時間以上の計測が必要と思ってください。
公的機関証明のベクレル値を得るためには厚さ8センチ以上の鉛で遮蔽しますが、この装置は数百万円かかり現実には無理です。
なるべく正確な標準線源を入手し、比較しながらサンプルのおおよその値を知ることができます。

*上記説明文は元放射線業務従事者の岩瀬 浩太様のご好意によりまして頂きました原文をそのまま記載させて頂いております。


トップページの測定関係資料にも明記させて頂きました。
↓クリック!

測定関係の資料